代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~

「え、八尋さんは……」

 目を丸くしてしまいつつ、七海は八尋に向かって言いかけた。

 この様子では、なにかしらの関係者でありそうだ。

 兄弟? 従兄弟? あるいは親戚……?

 戸惑った七海だったが、そこへ声がかかった。

「ああ、玖苑(くおん)くん! ここにいらした」

 七海たちが振り返ると、笑顔を浮かべた壮年の男性が近付いてくるところだ。

 彼は最初に壇上で挨拶をしていた人物で、つまりは八尋の取引先の社長ということだ。

 でもこの声の掛け方はおかしい。

 七海はますますわからなくなる。

「あ……笹木(ささき)様。お世話になっております」

 八尋のほうは、もっとおかしな様子になっていた。

 ここまでとはまったく違う、歯切れ悪い声で、彼に答えている。

(玖苑くん? どういうこと?)

 彼は確かにさっき、違う名前で呼ばれていた。

 でもすぐに口は挟めない。

 七海は動揺しつつも、二人の会話を見守るしかなくなった。