君の隣で



葉月の声が少しだけ低くなる。


「昨日のニュース。隣町らしいけど……こわいよね」


紗凪は手を止めた。


能力者。


この国では、特殊な力を持つ人々が一般人と共に暮らしている。


けれど、力を制御できずに暴走する者も少なくない。


「……そうなんだ。知らなかった」


「この学校は多いもんね。能力者。ちょっと怖いよね」


「うん。まあそうだね」


「あ、そいえば知ってる?あの人、総長って噂だよね」


「総長……?」


「月城蓮。 ほら、前に見たでしょ? 黒髪で、無口な人」


 その名前を聞いた瞬間、


 胸の奥で、何かが静かに鳴った。


 ――月城、蓮。


 どこかで、聞いたことがあるような気がした。