教室。
 チャイムが鳴って、ホームルームが終わると、帰り支度をした宗介が恋の席に来た。


「新聞部から、お前がまた樋山と向井と連絡を取ってるって聞いて、僕が何を思ったか分かる?」


 宗介がまだのろのろと時間割を書いている恋に口を開いた。


「そうやってけじめつけないで遊んで。僕に叱られたいの?。そういう甘えって嫌い。女子はよく怒られたくて浮気をするって言うけど、そういうのって恋人の事を思いやってない。僕は嫌だからね。」

「そんなには取ってない……」

「ばかたれ。ネタはあがってんだよ。壁新聞に、お前と樋山と向井のメール履歴が出てる。それ、どう申し開きするつもり?」

「だって……」

「だっても何も無い。僕はこれから委員会に行くけど、その前に約束の確認。お前の彼氏は僕だろ。僕以外にへらへら愛想撒いて良いの?。良い訳ないだろ。」


 宗介は腕組みをしてそう言ってから、声音を変えてちょっと残念そうに言った。


「委員会があると、お前と帰れない。放課後お前が一人でとぼとぼ歩いて帰ると思うと。あーあ。」

「寂しいって思ってくれるの?。宗介。」


 恋がそう聞くと宗介はまた声音を変えて今度は命令した。


「別に。調子に乗らない。夕方になったら、僕の家へ来ること。風呂だけ先入って、僕の家で夕飯食べて、僕の部屋で狐で眠ること。良い?。分かった?。」