遠く、儚く。



2人は部屋に戻るなり、声を上げて笑い始めた。

樹も成瀬も内向的な性格で、まさか自分があんな公共の場でサプライズをしたりされたりすることなんて縁のない人生だと思っていた。

周りの人に注目されたり祝福されることに全く耐性がなく、酔いが覚め始めた今思い返すとあまりにも恥ずかしい。お酒の力がなければこんな大胆なことできるはずがない。



ひとしきり笑った後、樹が成瀬の頬に手を添える。

「大好きだよ……成瀬。」

そう言って成瀬の唇をまた覆う。



段々荒々しいキスに変わっていく。
もうただの好意のある隣人じゃない…。私の人…。私の夫になる人…。成瀬は全てを樹に委ねるように体の力を抜く。


「いい…?」
「うん……」


最後の確認を取った樹はもう止まらない。
成瀬の浴衣の襟元を緩めて手を滑り込ませる。成瀬のふくらみに触れると成瀬が驚いたように体を捩らせる。

大丈夫…と優しく宥めながらも、樹は止まらない。

覆い被さる樹の頑丈な上半身に、成瀬は身動きが取れず、男女の違いを見せつけられる。


首から鎖骨にかけて口先を沿わせると、成瀬は堪らず身を捩らせる。樹は「ここ好き…?」と言いながら執拗に成瀬を刺激する。

浴衣の帯に手を掛け、邪魔をする布を一つ一つ取り除いていく。背中や腰、その下の膨らみに手を沿わせながら、最後の布にも手を掛ける。

成瀬が恥ずかしい…手で隠そうとするのを樹が制止する。樹が「きれいだね……」と言い、優しく刺激すると成瀬はまた身を捩らせる。


生まれて初めて感じる感覚に驚きながらも、不思議と嫌な気持ちはしない。ただただ温かく優しかった。

樹は終始成瀬を気遣い、2人が初めて体を重ねる時間は幸せに満ち溢れた時間になった。そしてそれは成瀬が想像していたより呆気なく終わり、2人は何度もお互いを求め合った。


気絶するように眠った2人は、翌朝スッキリと目を覚ました。樹が客室に付いている露天風呂に一緒に入りたいとせがむ。最初は恥ずかしいと拒否していた成瀬だが、根負けして最終的には2人で湯船に浸かることとなった。

外は雪がちらついている。温かい湯に入りながら雪を眺めるなんてこれ以上ない極楽だ。床に雪が積もっていて冷たいから、と樹が成瀬を抱き上げて湯船に向かう。


(pixivでは長編を掲載予定です💖)