クリスマスイブということもあり、恋人同士でレストランは賑やかだった。夕食は日本食をモダン風にアレンジしたコースで、2人は久々の贅沢を満喫していた。
樹がワインもセレクトし、美味しいお酒と料理、そしてクリスマスイブの特別な雰囲気に酔いしれる。
「どれもとっても美味しい…。でも特に前菜の〇〇。感じたことのない風味と食感が本当に新世界だった。」
「え、なるちゃんもそう思った?? 僕もそれが一番美味しかったなぁ… なるちゃんもかなりの美食家だね??笑笑」
「そんなことないよ…全部美味しかったよ!こんな特別なプレゼント貰っちゃって…ありがとう!」
「どういたしまして…笑笑」
メイン料理を食べ終え、スタッフが器を片付けに来たスタッフが「コースの最後に特別なデザートがある」と言って少し待つように言った。
「Marry Christmas」
スタッフがカートを押しながら2人のテーブルに向かって来る。カートの上にはロウソクに火が灯ったクリスマスケーキ。そして花束と小さな箱。
突然のサプライズを周囲の客が羨望の眼差しで見つめる。
「メリークリスマス、なるちゃん。」
「え……これ…樹先生が?」
「サプライズ…のつもり。笑笑」
「びっくりだよ…え…ありがとう……」
「なるちゃん。」
「うん…?」
「僕と…結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」
「え…え…?!」
「なるちゃんと、律と柚と、家族になりたいと思ってる。僕はなるちゃんと結婚したい。中途半端な気持ちで告白する訳にいかなくて…遅くなっちゃったけど。僕のお願い、聞き入れてくれないかな?」
「えっと……私でいいのかな?私でよければ…あの…喜んで…!」
わぁ〜〜と周囲から歓声と拍手が巻き起こる。
今この瞬間は間違いなく成瀬がこの世界の主人公だ。
成瀬の返事を聞いて樹が成瀬を抱きしめる。
「指輪…まだ重いかなと思ってネックレスのセットにしたんだけど…。もし良かったら指輪も付けて?」
樹が小さな箱を開けると、ダイヤモンドが光り輝く指輪とネックレスのセットが入っていた。
「こんな…高いもの……」
「僕の婚約者になるんだから…このくらい当然受け取るべきものだよ。」
「婚約者…婚約者かっ……ふふふ」
「そうだよ。」
「ネックレスつけてくれない?指輪も…笑」
「喜んで。お嬢様。」
ひゅーーーと冷やかす群衆に「キス!キス!キス!」と催促されて、樹が成瀬の唇を覆う。レストラン内は大盛り上がりだ。ところどころ女性たちの悲鳴も混ざっているようにも思える。
現実に引き戻された樹と成瀬は慌ててケーキを食べ、逃げるようにして部屋に戻る。
