慌ただしく仕事をしているとあっという間に週末だ。
修学旅行前日の小学生のように、成瀬は胸の高鳴りで夜中に何度も目が覚めてしまった。
約束の何時間も前に起きてシャワーをし、動画サイトの動画を参考にしながら、普段の3倍丁寧にメイクとヘアセットをする。
気合いを入れすぎて、メイクが濃すぎるか?と思っては消し、塗り直し…描き直し……2時間をかけて今まで一番クオリティーの高いメイクを完成させた。
前日に準備しておいた車内で食べるお菓子やドリンクをまとめて、樹を待つ。
そこに柚が起きてきて、少しツンと表情のまま何かを差し出した。
「柚おはよう。」
「……これ…ん。」
「ん??何これ??プレゼント?!」
「デートなんでしょ…?それも可愛いけど…今日は服これにしなよ。」
柚の差し出した紙袋には、アイボリーのタートルネックニットとミニスカートのセットアップが入っていた。
鞄とブーツは貸してあげるから早く着替えてきて、と柚に急かされるまま成瀬は着替えるが………
「着替えたけど…ちょっと…」
「可愛いじゃん!!」
「ちょっとスカート短すぎじゃない…?こんな短いの着たことないよっ…!」
「大丈夫大丈夫!ロングブーツで隠れちゃうから!」
「引かれないかな……」
「ぜっっったい大丈夫だから!信じて。」
「うん……」
ちょうどその時インターホンが鳴った。
「ほら!お姉ちゃん早く行った行った!明日帰ってくるまで連絡して来ないでね!私だってクリスマス予定ギッチギチなんだから!」
「…ふふ…分かった。じゃあ行ってきます。」
ガチャ…と玄関ドアを開けると樹が立っている。
昨日よりかは顔色が良さそうだ…。
「おはよう…。」
「あっ…お…おはよう!」
「どうしたのそんなにオドオドして…?」
「いや…その…なるちゃんが可愛すぎて……びっくりしちゃった。」
「…そう?柚が洋服プレゼントしてくれて。」
「すごく似合ってる。なるちゃんのスタイルの良さが際立ってるね。あ、荷物ちょうだい?僕が運ぶよ。」
「ありがと…。」
樹が助手席のドアを開け、成瀬をエスコートする。
今まで何事も自分でやってきた成瀬は驚きながらも、特別扱いしてもらうことにくすぐったさに似た感覚を覚える。
「なるちゃんはお姫様だから。何もしないで。僕にやらせて?」
「い…いきなりどうして??」
「今日はデートでしょ?だから。」
樹が成瀬の頭を撫でると成瀬は頬を赤める。
そんな成瀬を見て樹はかわいい…と呟き、顔には笑みが溢れる。悪戯心に駆られた樹は俯く成瀬の顔を覗き込む。
「かわいい…なるちゃん…笑笑」
「めて…からかわないでっ!」
「分かった分かった。でもおしゃれななるちゃんが可愛すぎて。」
「そうかな…?」
樹が車を走らせ始め、高速に乗る。
樹が自然と成瀬の手を握る。
