新見が午前の診療を終えて院内食堂で昼食を取っていると、向かい側に勢いよく食器の乗ったトレーが置かれた。
心療内科時代の同期、各務だ。
「新見ちゃーん!おつかれーぃ!」
「…るさい。静かに飯くらい食べさせてくれ。」
「相変わらずつれないですねぇ新見先生は!今夜空いてる?」
「空いてない。」
「嘘つけ。新見ちゃん今日普通に17時までって確認取れてるよー。合コンだよ合コン?それも今回はメンバー豪華だよ?」
「興味ないから…」
「全くそんなこと言っちゃって!来たら気分変わるよって!」………
はぁ………俺の三連休前日がめちゃくちゃに…。
断りきれなかった俺が悪いんだけど、結局人数合わせで合コンに引きずり出される羽目に。最悪だ……とため息をつく。
「「「かんぱーーーい」」」
男性陣は無理やり連れてこられただろういつものメンバー3人と各務他2名の合計6人。女性人は有名大学のミスコンファイナリストや現役CAなど合計6人。いわゆる港区女子というやつだろうか。
自己紹介を適当に聞きながら、場の雰囲気に合わせて拍手を送る。あぁいつ帰れるのだろうか…。各務がその場を盛り上げようと奔走している姿を見ながら、こいつの精神力や意欲は一体どこから湧いてくるのだと少し感心する。
そんな中新見の視線は1人の女子大生のに向いていた。もちろんそういう視線ではない。彼女はグラスゲームで2回連続で負けたものの、許容範囲を超えているのが目に見えている。すでに目の焦点が合っていない。もちろん新見以外の男性陣も気づいているはずなのに、無理しないでとは言うものの誰も飲むなと制止しない。
「もうやめときな。これ以上飲まない方がいいよ。」
そう言って新見は女子大生の手からグラスを奪い、代わりにぐいっと飲み干す。
ひゅーと口笛を吹いて冷やかす各務を新見は軽く睨みつける。
「お前らいい歳した大人だろ…ちょっとはわきまえろ。無理しないでって言うだけじゃなくて止めろよ。」
「「「え〜新見先生やさしぃ〜」」」
格好をつけようとしたわけではないのに結果的に女性陣の視線を一気に集めてしまった新見だったが、仕事のことや休日の過ごし方などしつこく訊いてきる女性陣を適当にあしらい、話題を他に逸らそうと奮闘する。結局その日、新見は二次会に向かう一行に着いていくふりをして、一人静かに自宅に向かった。
