成瀬は樹に素直な気持ちを打ち明けたことで、不安はまだ残るもののずいぶん心は軽くなった。
樹に対する好感は日に日に増すばかりだ。
時間があれば頭に浮かぶのは樹のことばかり…。
しょっちゅうぼーっとしていて、家でも職場でも何回も指摘されてしまっている。
私を見つめて微笑む笑顔……
優しい視線……
頭を撫でられる感触……
甘くねっとりとしたキス……
全てが記憶から離れない。
もっと触れられたい……もっと先に進みたい……
心と体がそう言っている。
自分で考えてもとても恥ずかしい。
でも樹とだったら……
きっと幸せだ……
時は流れ…今年も残すところあとわずかだ。
12月は樹の誕生日、クリスマス、お正月とイベントづくしだ。
今日は樹の退勤時間に合わせて合流し、誕生日プレゼントを4人で買いにいきそのまま食事をする約束をしているので、弟たちを連れて樹の病院に向かう。
あとちょっとで診療終わるからロビーで待ってて、と樹からメッセージが届いて待っていると……
看護師と楽しそうに談笑しながら樹が歩いてくる。
「律柚!お待たせ!ごめんねなるちゃんも…!」
「「樹せんせーだ!お疲れ様!」」
「「早く行こー?部活終わりでお腹ぺこぺこ!」」
「うんうん。じゃあ笹木夜勤頑張れ。先上がるわ!」
「ちょっと待って…この方もしかして新見の彼女さん…?」
「えっと……厳密には彼女ではないんだけど…、俺が好きな人。」
「え…片思いってこと?良い年したおっさんが?笑笑」
「るさいよ…俺の自由だろ。」
「初めまして。大嶌成瀬と申します。新見先生の横隣の家に住んでまして…いつも良くしていただいてます。」
「あ、そうなんですね。看護師の笹木です。坊やたちは何歳??」
「「13歳です。」」
「へぇーそうなんだ!大嶌さんめっちゃお若いですね!それに美人…」
褒められているようなのに私に好感を持っている雰囲気ではない。頭のてっぺんから足先にまで全身に視線を送られ、律と柚のことも……。
もしかしてこの人…樹先生のこと好きなのかな?随分親しげだけど…。
「明日誕生日祝いに夕食奢るって言おうと思ってたけど……先約がありそうだね?」
「あぁ…そうなんだ。約束してて。」
「そっか……じゃあまた来週。」
「うん。それじゃ。」
