遠く、儚く。



帰宅したら成瀬はすぐさまベッドにダイブする。
手足をばたつかせ、悶絶する。


自分を引き寄せる力強い腕…
優しく甘くもどこか妖艶な眼差し……
温かい抱擁と心地よいキス……

正直あんなに良いものだとは想像もしたことがなかった。



もっとしたい……物足りない……
心が…体が…樹を探し求めてるみたいだった。
あんな人がいつも私の横にいてくれたら……どんなに幸せだろうか。

そんな彼が私を好きと言ってくれてる。
幼い兄妹の存在も受け入れてくれてる。
こんな人…人生で出会うこともう二度とないんじゃないか?

そんな考えをする一方で不安もある。
いつか飽きられたら…?
捨てられたら…?
両親のように変わってしまったら??
自分はもっと傷つくのではないか…。


傷ついてしまったらもう…自分はもう二度と立ち上がれないんじゃないか…。
どうせ傷つくなら最初から始めないほうがいいんじゃないか……。
今まで通り、仲の良い隣人・ゲーム友達でいいんじゃないか……。



いろんな考えが頭を巡り、眠りにつくことが出来なくなった。

幸せなのに…幸せが怖い。

思いがけずして、成瀬の不眠症は悪化の一途を辿っていった。