遠く、儚く。



ゲームで二人が繋がったことでひとつ変わったことがある。

パソコンを開くと、通話・メッセージアプリが自動で起動し、自身のフレンドの現在プレイしているゲームの種類や、どれくらいプレイしたか、オンラインかオフラインかが分かるようになっているのだ。


「なるちゃんまだ寝ないの?早く寝なさーい」
「そっちこそ早く寝なさーい笑」


そんな会話を毎日のように繰り返される。

ゲームに熱中して夜更かしをすることはよくあっても、成瀬の場合は毎日3.4時まで起きている。そして朝には普通に出勤していく。

新見はそのことを危惧していた。毎日のように成瀬をたしなめるが、成瀬の生活リズムは変わることはない。



「いい子は早く寝なさい〜」
「悪い子なんで寝ませんー」
「はいはい…笑 なるちゃんってさ、明らかに睡眠時間短いよね?普段いつも何時間くらい寝てるの?」
「さぁ…あんまり考えたことない」
「日中眠くならないの?」
「仕事集中してれば眠くない。電車とかではよく寝てる。」
「へぇーそっか。だとしてももうちょっとだけ早く寝る努力しようよ。」
「えぇー時間もったいないし。」
「まぁなるちゃんまだ若いしね…笑」
「出たっおじさん発言…笑」
「うるさい。とにかく今日はここまで。またインフル罹りたくなかったら早く寝てー。」
「ちっ…めんどくさいなぁ」

「もしかしてさ、眠りたくないんじゃなくて眠れないとかではないんよね?」
「うーん…まぁそれも合ってるよね。昔からこんな感じのスタイルだからたくさん寝た方が逆に体に悪い。」
「そんなことあるかいな…笑」
「あるもん!」
「はいはい。それでも今日はリラックスして早く寝なね。体壊さないように。」
「…自分でも頭では分かってるんだけどさ…」
「…ん???」

「自分でも早く寝なきゃって頭では分かってるんだけど…怖いんだよなぁ」
「怖い?寝るのが??」
「そそ。別に寝たくないわけじゃない。けど疲れ果てて気絶するくらいにならないと寝れない。」
「そっか…。それは最近?それとも昔から?」
「ずっとそうだよ。学生の頃から。だから慣れっこだよ。」
「悪い夢を見るのが怖いの?それとも目が覚めないんじゃ…とか考えちゃって怖いの?」
「色々だよ。そういうのもあるし考えすぎる性格だっていうのもあると思う。いろんな考えが浮かんできて止まらない。」
「そういう人多いよね。分かる分かる。」

「直せるなら直したいけどねぇ…多分年取ったら変わりますよって言われて終わり…笑」
「あ、病院でそんなふうに言われたの??」
「病院というか…産業医にだけど。」
「そっかーなるほどね。最近は思考をコントロールする練習をするみたいなやつも流行ってるからやってみたら?」
「あーなんか瞑想みたいなやつ?YouTubeの睡眠BGMとか?色々試してはみたんだけどね…。笑」
「あんまり効果なかったんだ?」
「本人の意思が重要です、ルーティン作ってください的なこと言われるけどさ…なかなか難しいよ。」

「そうだよね。もしなるちゃんが必要なら僕もしてあげられることがあるから。いつでも言って。」
「あっそうじゃん。頼んだらいつでも眠剤もらえるのか!!」
「バカっそういうことじゃない!笑笑 俺これでも元々心療内科だから。必要なら薬も出すし、相談にも乗るよ。」
「そうなんだ。ありがと。笑」
「無理しないでいつでも言って。」