成瀬は翌日の夕方まで入院していたが、新見は成瀬の病院と家を何度も行き来しながら、成瀬と律と柚の面倒も見ていた。
新見が非番にも関わらず足繁く成瀬の病室に通う姿を目撃した病院関係者が、有る事無い事様々な噂を立てていたが、本人は知る由もなく。
幸い律と柚にはインフルエンザの症状はなく、至って元気だ。食事と家事を成瀬に代わって新見がこなし、お風呂や寝かしつけまでしたことで双子と新見の距離はさらに近づいた。一方でじっとしていられない性格の成瀬は、ベッドに寝ていること自体が苦痛で一刻も早く退院したがっていた。
成瀬が退院して自宅に戻ってからも、成瀬が隔離期間であることを口実に、新見は事あるごとに3人の世話を焼いた。冬休み中で暇を持て余している双子は新見にべったりで、ずっと新見の自宅に入り浸っている。
成瀬はと言うと、交渉に参加できなかった穴を埋めようと必死に仕事をこなしていた。朝から晩まで作業をやめない成瀬を新見が半強制的に休ませる。
新見は連休中毎日3食、料理して3人に振舞った。成瀬には回復度に合わせた食事を準備し、薬の服用までしっかりチェックする。
連休中全くと言っていいほど休む時間はなかったが、新見は幸せだった。可愛い双子と遊ぶのもとても楽しかったし、何より成瀬の近くにいられることに高揚感を感じる。
成瀬との距離もかなり縮まったと感じてはいるが、やはり一枚大きな壁を隔てているようなぎこちなさがある。律と柚が寝るのを見届けて、自宅に戻るまでの短い間だけが成瀬と二人きりで話すチャンスだ。
「律と柚寝たよ。」
「ありがとうございます…何から何まで…。本当に助かります。」
「全然。僕が好きでやってるだけだから気にしないで。」
「隔離終わったら必ずお礼させてください。」
「気にしなくていいけど…分かった。笑」
「はい笑」
「まだ寝ないの?もう12時だよ?」
「あぁ…私夜型人間で…。」
「いくら夜型だった言ってもあなた病人でしょ。早く寝なさい。」
「病院で寝過ぎて腰痛いんですよぉ…これ以上寝てたらおかしくなりそう…笑」
「まぁわからなくもないけど…。普段から寝るの遅いんじゃない?いつかこの前たまたま夜中にコンビニに行った時4時近かったのに電気ついてたし。」
「うーん…私がゲームをするのが好きっていうのもあるんですけど、夜に頭が興奮しちゃってあんまり眠れないんですよね。」
「僕もゲーム好きだから分かるけど…良くないな…」
「先生…もしかしてRPexとかRoRとか好きじゃないですか?」
「えっ、そう。めっちゃ好き。どうして分かったの?」
「この前怪我して先生の家にお邪魔した時に…フィギュア…」
「あー!はっず…笑」
「実は私も…どっちもめっちゃやってます笑」
「ええぇそうなの??」
「はい。時間ある時は結構頻繁に。」
「え、今度一緒にやろうよ!discordのID交換しよう!」
「いいですよ笑 これです。」
ゲームが二人の距離をさらに縮めることになるとは……。
天が新見に味方しているのかもしれない。
ゲーマーの間で頻繁に使われている音声・メッセージアプリを交換したことでこれから気軽に連絡できるようになる。新見は心の中で大きくガッツポーズした。
元気になったら一緒にゲームをしようと約束して、新見は自宅に戻った。
