美風の用意していたカレーを食べてから、夕方になってきたので、恋達は焚き火をした。
あかかと燃える暖かな炎の周りに座って、恋達は話をした。
「そういえば樋山さんは恋のこと新田さんて呼ぶんですね。ほんとに懇意なんですか?」
律が聞いた。
「ああ、僕の恋人になった時に最初に恋って呼ぼうと思って。拘りがあるんだ。新田さんっていう言い方をする奴珍しいし、それはそれで特別だし。男でも新田さんの友達は恋って言ってる奴結構多いから。今のところは多分僕だけなんだ、新田さんって呼んでるの。」
美風は一旦言葉を切ってから。
「僕からも聞こう。向井は最近出会ったばかりなのになんで新田さんと懇意みたいに振る舞ってるの?。鬱陶しいんだけど。」
美風の嫌味に律は平気な顔で。
「……僕は十分懇意ですよ。あやかし狐同士って相性いいんで。誰かと違って最初から名前呼びだったし。正カレ差し置いて遊んでもらってるんで。樋山さんじゃなくて僕のが多分準カレですよ、もう。」
美風はふう、とため息をついた。
「正カレ正カレって上野が邪魔でしょうがない。そろそろ新田さんも乗り換えてくれればいいのに。あーあ、あいつさえ居なければなあ。僕と新田さんの出会いは運命。新田さんに近づくもの全部が邪魔でならないんだ。……向井、キミも邪魔な方だから。仲良くしないよ。ライバルだからね。」
「ハイハイ。邪魔で結構。僕は樋山さん達気になりませんけど。最終的に、あやかし狐はあやかし狐とくっつくって分かってるんで。普通の人とはくっつきませんよ。樋山さんにはお気の毒ですけど。」
恋はふわ、とあくびをした。
と、恋のポケットからケータイが鳴った。
確認してみるとメールで、差出人は宗介となっている。
恋はおそるおそるメールを開いた。
To 恋
From 宗介
お前今どこ居んの
駒井に聞いた。キャンプだってね?
帰って来るの待ってるね♡

