日曜日。
 日時計の広場に行った恋と宗介は、理央たちを待っていた。

「ああ嫌だ嫌だ。チケット僕と恋の分だけ分けてくれって言っても断られるし。今日も新聞部の先輩達が一緒だし。どうせ今日の事も新聞である事ない事書き立てられるんだ。女子達も僕と樋山がどうしてるかなんて、興味持たなければ良いのに。気の休まる暇がない。」

「気にしすぎだよ、宗介」

「気にし過ぎなんかじゃない。新聞部の先輩達、僕たちをおもちゃにして遊んでるんだ。いい加減にして欲しい。僕と樋山は学校の有名人になっちゃって、廊下を歩く度にいつも必ずヒソヒソ言われるんだから。樋山だけにしろっつーの。あいつと僕を対比させて黒だ白だ王子だって言ってるのが謎。女子たちは物好き。まったく。」


 恋と宗介が話していると後ろからパシャリ!と音がした。

 振り向くと、ほくほくした顔の伊鞠がカメラを手に花壇の後ろに立っていた。


「さすが黒王子!後ろ姿も様になるわね。どうかしら。タイトルはベンチで内緒話をする三角関係。」

「迷惑です。」


 
 イラっとした顔の宗介が返すと、今度は一緒に居た桂香が、その顔を1枚撮った。


 
「……黒王子」

「うちの学校の名物よ。黒白王子の黒王子!。クールで攻め系、冷めた瞳に甘い声。今日もいい写真が撮れそう。うーん今回はどんな記事にしたらいいかしらね……。」

「毎回言うけど、それ、肖像権の侵害ですからね。分かってんのかな……ったく。恋と居るところを勝手に記事にしないでください。写真、ちゃんと返してもらいますからね。」


 宗介と伊鞠が言い合っていたところに、理央と美風と律が歩いてやってきた。


「恋!」

「あ、律」

「今日は水族館ですね。恋と2人きりじゃないのがちょっと残念だけど、これはこれで良いです。水族館って雰囲気あるし、いい記念になりますよ。」

「律と樋山くんと理央が一緒なんて珍しいね」

「商店街で前を歩いてたから、声かけたんだ。髪が狐色だから、すぐ律ちゃんって分かったよ。律ちゃんはいつもラフな服装してるし。前から見れば美形で目立つしね。」

「新田さん酷い。また上野と2人で来て。2人で何を話してたの?」


 美風がそう言った時、宗介が理央を盾にして隠れた。
 

「あっシャッター切るな。フラッシュ炊くな。僕にカメラを向けるな。新聞に載りたくない。写真撮るなら樋山を撮ってくださいったら。樋山がポーズ取れよ、白王子なんだから。」

「はあ?。冗談じゃない。僕だって写真撮られるの嫌いなんだから。僕が白王子なんじゃなくて、上野が黒王子なんだろ、知ってるんだから。ざまあみろ。先輩方、今日は気合入れて上野だけ撮りまくってください。」

「もうすぐ電車が来るね。」



 ガヤガヤと一行は駅へ向かった。