一行がバス停に着くともうバスは来ていた。

 人が少なかったので、恋達は一番後ろの席と、新聞部はその前の二人席に陣取って座った。

 
「お祭りなんて良いですね。僕楽しみにしてたんですよ。今日はたこ焼きを食べようと思ってるんです。それからお好み焼きも、じゃがバターも。」

「僕は氷食おうっと。夕方になってそんなには暑くないけど、昼間はかなり暑かったから。暑い時はかき氷だよな。僕いつもコーラかブルーハワイ。ほぼ飲み物だけどね。」

「恋、恋何食べる?」

「綿あめかな。」


 
 美風が言った。



「僕は今日はカメラは持ってこなかったんだ。友達と居る時はあんまり撮らない事にしてる。マナーで。浴衣だと撮りにくいしね。それよりは祭りの雰囲気を味わった方が良い。新田さんも居るんだし。かき氷とかじゃがバターとか祭り特有のものを食べて浸るよ。」

「あら、写真なら樋山くんの分も私達撮ってあげるわよ。私達うまいわよ。」


 伊鞠が振り向いて言った。


「先輩達は、記事を作るのをそろそろ遠慮した方が。」

「しないわよ。記事は私達の肝。めいっぱい書き立てて思い切り賑やかししますからね。」

「そういえば、学校の黒王子白王子、投票終わったね。」


 理央が言うと伊鞠が、

 
「今年も黒王子は上野くん、白王子は樋山くんで決まり。黒王子も白王子も新聞に写真を貼って盛大に特集するのよ。うーん黒白両王子の三角関係の頂点に、何か名前をつけた方が映えると思うんだけど、今のところは姫としかつけてないの。何かいい案ない?」

「どうでもいい」


 宗介がげんなりした顔で言った。


「クール系黒王子と正統派白王子。学校で両王子が出場する記念に残るようなイベントを何か考えたいと思ってるんだけど、その案も募集中なのよ。新聞部主催でやろうと思ってるの。そっちも何か思いつかないかしら。」

「おえ。必要ありませんよ、そんなの。僕は出ませんからね。」

「僕も協力しません。王子って何?。何のことを言ってるか分かりませんもん。新聞部の人達変ですよ。」

「楽しそうだな。イベントって好きです。僕も混ぜて貰えませんか?」


 律が無邪気に言うと、
 

「向井くんのことも三角関係の記事で特集したのよ。キャッチコピーは年下の新星現る。写真載せてたから女子に中々人気出てるわよ。」


 と伊鞠が笑いかけた。

 そうこうしているうちバスは海側のロータリーに着いた。