恋はそこから狐の姿で走り出したが、計算違いが一つあった。
恋が入っていった路地裏は、さっきカフェのマスターが言っていた様な胡乱な輩の取引場所だった。
恋が狐に変身したのを、そういう輩の一人が物陰から見ていた。
胡乱な輩はもう一人に声をかけた。
「おい。」
「どうしたの。」
「狐に化ける人間って、まじないで良い贄になるよな。」
「それはもちろん。」
一人は男でもう片方は髪の長い女だった。
左手で影のモンスターを撫でている。
「さっき見つけた。今度はあいつを狙うことにする。」
「本当に狐になったの?。本当に?」
「ああ」
悪企みをする二人は、こそこそと相談を始めた。

