「お芋が笑うんですか?」


 その言葉に、俺までキョトンとしてしまった。


 どうやら先ほどの焼き芋の話は続いていたらしく、俺の言葉の意味を大きく履き違えているようだ。


やっぱりわかってない彼女に、思わずぶっと吹いてしまった。



「なんで笑うんですかぁ!?」

 照れていたのを思い出したのか、さらに顔を赤く染めている。


「…くくっ、なんでもないって」


 そんな君だから、好きになったんだ。


「うう、やっぱり太一さんってば意地悪ぅ」

 恥ずかしさもあるのか、俺のコートに顔を埋めてきた。


 いじらしい姿に、いつくしむように頭を撫でる。



 今はこのままでいい……。

まだ、ね。



 住宅街の静かな細道。

ぬくもりが伝わりあう距離が、ちょうどいいんだ。


「じゃあ……」


 まるでからかわれていたかのような、彼女の質問だった。

今度は俺の反撃だ。




「俺のどこがスキ?」