答えを待ちわびる彼女。

ゆっくり腕を伸ばして、小さな身体をぐいっと引き寄せる。

「た、たたた、太一さんっ!?」


 ぴっとりとくっついてしまった彼女を俺の腕の中に閉じ込めた。

ただそれだけで耳まで真っ赤になる姿は、いつみても飽きない。


 俺としても恥ずかしいんだけど、それよりも彼女が愛しい気持ちが勝る。


 心地好い体温と、次第に強まっていく心音。

全部…俺だけのものにしてしまいたい。



 そんな汚いコトばかり考えているなんて、目の前の彼女は塵ほども気付いてないだろう。

気付かれないように振舞うのが、とにかく必死だ。


 彼女の羽織っているダッフルコートと俺のコートの衣擦れの音が、また更に俺の緊張感を快感へと変えていく。


「…そうだなぁ」


 例え、これから辛いことがおきても。

……俺と離れてしまっても。



 きっと、君の笑顔は変わらない。


 口にはできないけど、いつも思ってる。


「笑ってるとこ」


 顔を見られないように腕に力を込めた。

すると、苦しそうに見上げた彼女の顔がすぐそこにある。



 不思議そうに、彼女は笑ってきた。