俯いた彼女は唇を尖らせている。

本当は、それにすら触れたくて仕方ない。


 本人は気付いてないみたいだけど、くるりときれいなカールをみせる睫毛は、十分に俺を誘惑している。


「……じゃぁ、どこがすきですか?」

 ほっぺたを赤くして、ちらりと上目遣い。


これはもう、理性と本能の戦いだ。


透き通る彼女の瞳に、ぐらぐらと揺れる自我。


「ど、どこっていわれても……」


 答えにつまってしまう俺

期待で満ち溢れた瞳に嘘がつけない。


 まっすぐな彼女の視線に、いつだって優位にいたいのに簡単に許してはくれない。



 好きな理由?

…そんなもの、ありすぎる。


でも口になんて出せるわけがない。


 顔が可愛いだけなら、俺の好みは世の中にたくさんいる。

その中には、高学歴や高収入の人だっているだろう。


 だけど、そんなことは今の俺には関係ない。



 悲しいときも、苦しいときも。

なにより、嬉しいときにみせるとびきりの笑顔。


 多分、俺は彼女のソレにやられてしまったんだと思う。