相変わらず、無邪気の笑顔に俺は呼吸困難に陥る。
それを知られないように、必死に大人のフリをするのは極めて厳しい。
「杏ちゃんがそこでずばっとスマッシュを決めたんですよ!」
そんな俺を露知らず、隣ではかわいいクセッ毛を揺らして興奮気味に自分のことのように話している。
彼女は俺の……悔しいことに、恋人だ。
三つも年が離れているという現実は、当初、かなり抵抗があった。
けれど、いつの間にか気にならないくらいのめりこんでしまっていたのは、彼女にはまだばれていない。
話にあがっているのは、彼女の親友でもあり幼馴染。
成績優秀、スポーツ万能のお姉さん的友人は、年齢のわりには大人びている。
いや、今隣にいる彼女自身が幼すぎというのもあるのだけど。
「…太一さん?」
考えごとをしていた俺を、小さな身体を活かすようにまん丸の瞳で見上げてくる。
俺は、そんな彼女の表情が一番弱い。
誤魔化すようにさっと視線をずらした。
「どうしたんですか?」
きょとんと見つめる視線は、全て計算しているように俺の心臓を早打ちする。
彼女にかぎって、そんな打算的なことはできるはずがない。
「なんでもない」
冷たい冬の風に逆らうように、彼女のクセのある髪をくしゃっと撫でた。
そんな俺に、もうっ、と困りながらほっぺたを膨らませて前髪を整える。
「あっ」
何かに気づいたのか、楽しそうに躍り出るように一歩、彼女が踏み出す。
「焼き芋たべたくなりますよね〜」
それを知られないように、必死に大人のフリをするのは極めて厳しい。
「杏ちゃんがそこでずばっとスマッシュを決めたんですよ!」
そんな俺を露知らず、隣ではかわいいクセッ毛を揺らして興奮気味に自分のことのように話している。
彼女は俺の……悔しいことに、恋人だ。
三つも年が離れているという現実は、当初、かなり抵抗があった。
けれど、いつの間にか気にならないくらいのめりこんでしまっていたのは、彼女にはまだばれていない。
話にあがっているのは、彼女の親友でもあり幼馴染。
成績優秀、スポーツ万能のお姉さん的友人は、年齢のわりには大人びている。
いや、今隣にいる彼女自身が幼すぎというのもあるのだけど。
「…太一さん?」
考えごとをしていた俺を、小さな身体を活かすようにまん丸の瞳で見上げてくる。
俺は、そんな彼女の表情が一番弱い。
誤魔化すようにさっと視線をずらした。
「どうしたんですか?」
きょとんと見つめる視線は、全て計算しているように俺の心臓を早打ちする。
彼女にかぎって、そんな打算的なことはできるはずがない。
「なんでもない」
冷たい冬の風に逆らうように、彼女のクセのある髪をくしゃっと撫でた。
そんな俺に、もうっ、と困りながらほっぺたを膨らませて前髪を整える。
「あっ」
何かに気づいたのか、楽しそうに躍り出るように一歩、彼女が踏み出す。
「焼き芋たべたくなりますよね〜」