「もー、全然寝れない!」

 結と星は子ども部屋のベッドで横になっていた。
 昼間のことを思い出して結は興奮冷めやらぬ状態継続中。そんな結とは正反対に星は落ち込んでいた。

「いいなぁ、結ちゃんは」
「何で?」
「だって、ママもいるし、パパも……私にはママがいないから」

 結は自分だけが喜んでいたことを、少し後悔する。

「……見つかるよ」
「え?」

 上体を起こして、結は星を励ます。

「私のパパだって見つかったんだから、星のママだって見つかる! ぜったい! 大丈夫!」
「本当?」
「本当! 私を信じて」

 そこまで言ってくれるなら、と星も頷く。

「うん。結ちゃんを信じる」

 結は満足してまたベッドに寝転がる。

「私のママ、今どこで何してるのかな?」
「さあ? 私のパパはだいがくいんっていうところにいるみたいだけど」
「私のママもそこにいる?」
「それは分かんない」
「そっか……」

 星の落胆が聞こえてくる。

「でも、どこかにいるよ! 地球のどこかに!」
「広すぎて探せないよ……」
「たしかに……」

 二人で星のママがどこにいるのかを考える。星には新たな疑問が浮かんだ。

「私のママってどんな人なのかな?」
「うーん……私のパパは関西弁で話してたから関西人なんだけど」
「じゃあ、私のママも関西人?」
「それは分かんない」
「そっか……」

 同じような終着点が続く。

「会いたいなぁ、ママに」
「ぜったい会えるから!」
「そうだといいなぁ」
「今日は寝よう!」
「今日寝たら、明日会える?」
「それは分かんない」
「そっか……」

 そんな話をしていたら、二人はいつの間にか眠ってしまっていた。