「ちょっと亜希、付き合ってよ」

“お腹すいたー”

明るい声で付け加えられた言葉はいつもの様にあたしの心を落ち着かせ笑みを漏らせる。


「早く行こ」

そう言って絵梨佳は、あたしの腕を引き近くのファミレスまで足を運ばせた。

入ってしばらく経つと注文した料理が目の前に置かれる。


絵梨佳の前にはオムライス。
あたしの前にはカルボナーラ。

絵梨佳はスプーンでオムライスをすくい取り、今まで黙っていた口を開いた。


「亜希…。あの人の事、好きなんでしょ?」


何気ない顔をしてオムライスを口に運ぶ絵梨佳を見て「…まさか」と小さく呟く。

ジッと見つめてくる絵梨佳の視線から目を逸らし、あたしは銀色のフォークを手に取りスプーンの上でクルクルとパスタを丸める。

丸まったパスタを口に運ぼうとした時、目の前の絵梨佳は口元を緩めた。