つい張り上げてしまった口調が気にくわなかったのか弘人は数秒の沈黙もないまま返してきた。
「ほら、怒ってんじゃん」
「だから怒ってないって」
「その口調はどう考えても怒ってんだろ」
「これが普通だもん」
「普通ねぇ…」
呆れた口調で弘人は呟き「俺、何かしたか?」と言葉を続ける。
口も開かずジッとして地面を見つめるあたしに弘人は深いため息をつく。
時間が過ぎるとともに身体は冷え込みギュッと自分の身体を抱え込む。
冷たい追い風に吹かれた髪の毛は、あたしの顔の前で行き来する。
それさえ邪魔なのに、前にいる弘人はため息を繰り返す。
「……ツクんだよ」



