食堂を出て、冷たい風があたる身体を両手で擦る。


肩に掛けていた鞄の中からベージュのマフラーを取り出し、首にしっかりと巻き付けた。

腕までずり落ちていた鞄をしっかり肩に掛け直し、両手をブレザーのポケットに突っ込んだ時、右ポケットからチャリン…と微かに音が響いた。


その指に触れたやつを摘んで取り出し見つめた。

手の平で100円玉と10円玉がぶつかり合っている。


それを見て、ふと思った。


あいつ…

やっぱしよくわかんない。

手の平に転がっている小銭をギュッと握り締めポケットに押し込んだ。


時たま優しくて…

時たまムカつく。