腹の底から深く息を吐くあたしに「畑中弘人って、登録しとけよ」とまで忠告される。


どこまで強引なんだ、この男は!!

で、またその憎めない顔で言ってくるのが、またまたムカつく。


「……つく」

「あ?」

「ムカつくって言ってんだよ」

「そりゃどーも」


そう言って、唇の端を上げて微笑む顔がもっとムカつく。 


「あたし帰る」


ボソッと呟いて目の前にあるココアの缶を取り口に含む。

時間が経った所為で、さっきまでの温かさなんてまったくないココア。


これじゃあ、体を温めるどころか余計に冷えきってしまう。


飲み干した缶を握り締めて立ち上がり、前に座る弘人を見下ろし睨み付けた。