ポツンと取り残されたあたしは、一人寂しく帰る事にした。

靴に履き替え外に出ると、肌を痛ませる冷たい風が吹き付ける。


ギュッと手と手を握り締め、ハァーっと息を吐く。

白い息が一瞬にしてフワッと消えた。


斜め前に見える食堂に足を進ませ、中に入って自販機の前に立ち

…チャリン

と小銭がなるとともに飲み物を眺める。



しばらく眺めていると「俺、ミルクティー」と背後から声が聞こえた。


えっ…、

パッと後ろを振り向くとダボッとしたセーターを着た男が、あたしの横を通り過ぎ目の前の自販機のミルクティーをトントン叩く。



「あっ、あんた…ッ」

「あんたじゃねぇよ。弘人だけど」


そう言って、あたしの方を向いてうっすら笑う。