Powdery Snow


ふと目線を下げた時、手に握り締めている黒のマフラーが目についた。


「今日、来てないのかな…」 


小さく呟いて目線を上げると真向かいにある別の校舎から次々に人が溢れてくるのにハッとした。





3年とは限らない。


2年生…もしくは1年生かも知れない。


壁につけていた背を離し、あたしは一人で真向かいにある校舎へと足を進ませた。 


渡り廊下を歩いて一番近い教室の前に立ち止まり目線を上にあげる。


2年1組。


そう書かれてあるプレートから目を離した時、ふと思った。


冬の寒い季節は教室のドアが全部閉まっている。

それを、わざわざ開けて探すのか?


正直そんな事はめんどくさい。