3年になった2月は、学校に来ても来なくてもどちらでもよかった。


だけど、あたしは最後を楽しもうと残りわずかしかない学校へ向かう。


別に授業なんて何もない。ただ来たい人達だけ来て騒いでいるだけ。




「亜希、おはよ」


机の上にいっぱいお菓子を広げて、それを頬張りながらマスカラを塗りたくっている絵梨佳はあたしを見るなり手を上げる。


「おはよ」


手に持っていた黒のマフラーを机に置き椅子に腰を下ろす。

そして自分の首に巻き付けていたマフラーを外すあたしを見て絵梨佳は不思議そうに口を開く。 


「ねぇ、それ誰のマフラー?」


机の上にある黒のマフラーを見て絵梨佳は首を傾げる。


チラッと横目で見ながら、あたしは自分のマフラーを鞄の中に入れ「さぁ…」と声を洩らす。