winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

「馬鹿ねー。あんたみたいなヒヨッコが、山下くんの12年愛に叶うわけないでしょ?」



香織さんに軽く頭を叩かれて、えーと浅田くんは不満そうだ



「山下くんの12年愛が実って私は嬉しいよ」



そう言って香織さんが涙ぐんでハンカチで目を拭っている…



泣かないでくださいよー



私は香織さんを宥めた



「結婚したら新居はどこに住むの?」



まだハンカチで涙を拭っている香織さんが普通に訊ねる



「あー。そのまま山下さんちに引越しすればいいかって言ってます」



どうせ二人だし…



職場からもそう遠くないので…



私は少しだけ悲しそうに言ってみた



「そっか…2人で住めばどこでも都よ」



香織さんはそれ以上話を深く掘り下げない…



私に気を遣っているのだ…



私達は明日も仕事だからとそんなに遅くならない内に解散した…