君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~



そこまで考えて、俺は小さく息を吐いた。


……らしくねぇ。

アクセサリーだの、プレゼントだの。
今までの俺なら、こんなこと絶対にしなかった。


───けれど。

目の前で困ったように視線を揺らしている由良を見ていると、どうしても引く気にはなれなかった。



「…………」


しばらく黙り込んでいた由良が、そっとネックレスへ視線を落とす。

白く繊細な指先が、恐る恐る三日月のトップに触れた。


………その瞬間。
ふっと、彼女の表情が柔らかくほどける。


「……っ」


思わず息を呑んだ。


今まで見てきた“由良”じゃない。
男として作っていた表情でも、気丈に振る舞う仮面でもない。

そこにいたのは、年相応の、ただのかわいらしい少女だった。


嬉しそうに。
でも、どこか照れくさそうに。

壊れ物みたいに大切そうに、そのネックレスを見つめている。



「……ありがとうございます。大事に、しますね」


小さくはにかみながら由良が笑う。


その笑顔があまりにも無防備で、思わず胸の奥が強く締めつけられた。

……ヤバい。
かわいすぎるだろ。




「つけてみろよ」


ほぼ、無意識だった。
ただ早く、そのネックレスをつけている由良が、見てみたかっただけ。


「えっ、あ、はい……」


由良は慌てたように箱を開ける。
けれど、細いチェーンが指先でもつれて、なかなかうまく留められない。


「あっ……」

「……貸せ」


自然と、手が伸びていた。


「え?」

「後ろ向け」


有無を言わせずそう言うと、由良は少しだけ肩を跳ねさせながらも、おずおずと背中を向けた。


サラリ、と長い髪が揺れて、白い首筋が露わになる。

………ふわっと鼻をくすぐった甘い香り。



指先がわずかに触れただけで、由良の身体がピクッと震える。

その反応に、今度はこっちの心臓が跳ねた。


細いチェーンを持つ指に、妙に力が入る。


落ち着け。
たかがネックレスだろ。


………なのに、鼓動ばかりがうるさい。




カチ、と小さな音を立てて金具が留まる。


「………できた」