陽人の言葉を聞いていきなりだまりこんだ理事長。


そんなにおどろくようなこと言った…?


『…そうか』


そして、少し悲しそうにそうつぶやいた。


『もうここまできたら無理に関わるなとは言わないが、お前らからぐいぐい責めると嫌われるぞ』


「…はい」


そんなの、


俺たち自身が一番わかってる。


『それよりお前らはなんで固まってたんだ?』


急に雰囲気を変えて楽しそうに聞いてきた理事長。


「えっと…」


なんていえばいいんだろう…


というか、言っていいことなの?


”由衣と紘がキスした”って。


『由衣と、紘がキスした…』


めずらしく口を開いたのは李兎。


『ははっ、紘は独占欲が強いからな~』


なぜかどこかうれしそうにしゃべる理事長。


なにが”紘は独占欲が強い”なの?


なんでそんな楽しそうなの?


由衣が好きな俺にとっては結構衝撃だったのに。


しかも、


俺にとってはこれって失恋同然じゃん…


「っ」


改めて自覚すると、結構キツイ…


涙をこらえて、唇をキツく噛む。


もう、どうしたらいいんだよ…



〜太晴SIDE end〜