君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

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「………あ、やっと来た~」


遠くからブンブンと大きく手を振る裕太の姿が、真っ先に目に飛び込んできた。



「おせーよ」


「……って、毒はきながらも、口元がニヤけてますけどね。やれやれ、ツンデレはこれだからほっとけません………」

「っ……うっせ」



李兎の揶揄いに蓮さんは不機嫌そうに鼻を鳴らしたけれど、その瞳は優し気に揺れていた。


(……ふーん。私のこと、そんなに待っててくれたんだ)



そんな彼の様子を見ていたら、ほんの少しだけ、意地悪な好奇心が頭をよぎった。


……この無骨な総長は、部下が命令をきいたくらいでどんな顔をするのだろう。




「………蓮さん」

「あ?……なんだ?」


「僕、蓮さんに言われたとおりにちゃんと来ましたよ……?」

「は?…………あー、ああ」



私の言葉を頭の中で反芻し、ようやくその意味──「自分が由良に来てほしがっていたこと」に気づいたのだろう。


気まずそうにふいっと視線を逸らし、口元を隠すように右手を添えた蓮さん。



私が”命令”を律儀に守ったことが、そんなに意外で、……そんなに嬉しいのだろうか。