『はあ…俺がなんで期限を一年したと思う?』


『さあ』


『…もともと一年経ったらお前らをこっちの学校に転校させようと思ってたんだよ』


『『『え…』』』


『その手続きに必要だった時間が一年だったから紘をためすのにちょうどいいと思った。だから…』


『…光輝、お前っていいやつだったんだな』


だまっていた朔が口をひらく。


『はあ!?俺はもとからいいやつだぞ!?』


『今わかった』


『…もうこの際しょうがないから転校を早めることにする。だが、1週間は待ってくれ』


『まじ?』


『え、最高じゃ〜ん』


『今はじめて光輝の存在に感謝した』


『朔、またそれか…』


『んじゃ、もういいよね?』


紘が由衣をかかえてガラッと理事長室の窓を開ける。


窓!?


『おい紘、さすがに扉から出ていってくれ。誰かに見られたら騒ぎになる。あと勝手に由衣を連れて行くな』


『はやく二人になりたいんだけど』


『たのむからそのマイペースさを直してくれ…』


『じゃね』


そう言って紘は窓から飛び降りた。


窓から飛び降りた!?


ここ、五階だよ!?