君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




「なので、できるだけ黙ってもらえると、ありがたいんですけど………」




ジッと、彼女の桃色の瞳を見つめる。


瞳孔の開き、心拍の上昇、わずかな視線の揺らぎ──すべてを観察し、彼女の良心に深く楔を打ち込む。






「う、うん………わかった。私たちだけの秘密、だね」


「本当ですか?……ありがとうございますっ」




私は、最高に無垢な少年のような笑顔を作った。



”秘密の共有”。

………それは、相手を縛り付けるのに一番有効な手立てだ。


本来なら、情報を聞き出したり、裏切りを防止したりするために使う冷徹な手口。

けれど今回ばかりは、少し用途が違う。




これで、私は”彼女だけの特別”になれた。

蓮さんさえ知らない私の一面を彼女が握っているという優越感が、彼女を私に依存させる。



(……これでいい。)


少しでも彼女の近くにいて、確実に守り抜くために。


私は、自分の顔さえも駒の一つとして、盤上に並べた。