「…………いいなぁ。僕も見てみたいです」
私はわざとらしく、目を輝かせてレンさんの瞳をジッと見つめた。
ここで彼がどう動くか………。
「あぶねぇから、桃華は連れていってやれねぇけど…………」
……なんだ、姫は参加しないのか。
じゃあ私も、今回はお留守番かな。
「………由良、お前は来い」
「………………えっ?」
予想もしていなかったセリフに、思わずなんともマヌケな声が漏れた。
「な、なんでですか………?」
「………お前に、暴走族ってもんを見せてやろうと思ってな。………ほらお前、前に暴走族に憧れてるって言ってただろ?」
「へっ、あ、まあ……言い、ましたけど……」
潜入用の嘘を律儀に覚えているなんて。
……意外とマメというか、お節介というか。
「ならいいだろ。絶対にお前を危険な目にはあわせねぇから。」
「え、で、でも………」
彼女が参加しないなら、私もあんまり無駄に動きたくないんだけど……。
外に出ればそれだけ素性が割れるリスクも増えるし………。
「…………これは総長命令だ。いいか、お前、明後日は絶対来いよ」
それだけ言い残すと、彼はソファから立ち上がり、私の反論を許さないまま部屋を出て行ってしまった。
「えー…………」
命令、ですか。
そんなこと言われたら、私は絶対に逆らわない………と、でも貴方は思ってるんですか?
もしそうだとしたら………貴方はまだまだ甘いですよ、"レンさん"。
私はあなたの部下じゃない。
ましてや、あなたの機嫌を取るために存在しているわけでもないんだから……。
当日は………予定が入った、とか適当な理由を付けてバックれよう。
そろそろ、組織に報告しに行かなきゃいけない時期でもあるし。

