「蓮くんは、だめ………」
────ハッと顔を上げると、そこには桃華が立っていた。
細い肩を微かに震わせ、今にも泣き出しそうな顔をしながら──……それでも、俺を庇うように両手を広げて、死神の前に立ちはだかって──────。
「………桃華?」
「…………どけ、じゃないとお前ごと撃つ」
カチャ、と無機質な金属音が鳴る。
男が再び───今度は桃華の眉間に向けて、迷いなく拳銃の照準を合わせた。
………ヤバい。
俺のせいで、桃華まで………!
後悔と恐怖と……色々な感情が混ざり合い、脳裏が真っ白に染まる。
叫ぶような衝動とは裏腹に、鉛のように重い体は地面に張り付いたまま離れない。
俺はただ、グッと拳を血が滲むほど握りしめ、次に訪れるであろう絶望の衝撃を待つことしかできなかった────……。
時間が止まる。
男の指が引き金にかかり、死を告げる音が放たれようとした、その刹那─────
「ダメ、だよ─────」



