『彼女は東雲由衣。姫ではないが、彼女への対応は姫への対応と思え』


涼って結構大胆なことするんだね…


由衣への対応は姫への対応と思え、って…


まあ、最終的にほんとに月華の姫にするつもりだから別に問題はないけど…


さわがしくなった下っ端を無視して2階へと進む。


ここは幹部室。


幹部以上の役職でないと入れない特別な部屋。


ドアをあけ、中に入って由衣を2人がけのソファに座らせて隣には俺が座った。


みんなが座ったのを確認して口をひらく。


『あらためて、俺が月華の副総長の藤田大晴だよ。』 


『総長の風見涼だ。』


『僕はハッカーの東李兎』


『俺は幹部の泉陽人だ!』













そんな面白味のない自己紹介を由衣は真剣な顔で聞いてくれた。


それがうれしくて、俺たちはこれから起きることを予想なんてしなかった。


あの時、由衣を引き留めないではやく帰らせておけばよかったのに…


そんな後悔はむなしく、事件は起こった_