─────そんな願いも虚しく。
「お前が………総長か?」
「っ、」
死神の指先が触れたかのような錯覚。
側頭部に、逃れようのない重みを持った銃口がゴリリと押し付けられた。
チラッと視線だけで、隣に立つ影を追う。
────そこにいたのは、驚くほど整った顔立ちをした、黒髪黒目の男だった。
まるで精巧に作られた彫刻のように冷たく、静かな佇まいでそこに立っている。
……けれど、その闇を凝縮したような研ぎ澄まされた瞳に見据えられた瞬間、俺の背筋を言いようのない悪寒が駆け抜けた。
コイツ………まったく、気配を感じなかった。
本能が警鐘を鳴らしている。
………こいつは、今まで相手にしてきたような”不良”とは次元が違う。
ましてや……そこら辺の黒服の男たちよりも。
グッと、男が引き金を引く指に力を込める。
逃げ場のない死を目前に、奥歯を噛み締め、痛みに覚悟を決めたその時──────。
「蓮くんっ!!!!」
静まり返った修羅場に、場違いなほど真っ直ぐで幼い叫びが響き渡った。



