ふわっとスカートをたなびかせてくるくると回っていたあの子。


無邪気に八重歯を出して笑っていたあの子。


_そして、俺たちに隠れて陰で泣いていたあの子。


俺たちはただ、君を守ろうとしただけなのに…










由衣に月華を紹介するって、決意を固めたはずなのに


いざそのタイミングになると口がカラカラに渇いて声が出ない…


まあ、今の俺たちには言うっていう選択肢しかないけど…


「…俺たち、月華っていう全国NO.1の暴走族なんだ。」


『…そうなんだ』


あれ?


思ってたより反応がうすい…?


もっと驚いたり怯えたりするのかと思った…


「…由衣は俺たちのことが怖くないの?」


『なんで…?』


「だって…昔、もう1人月華のことを紹介しようとした子がいたんだ。でも、その子は俺たちが暴走族だということを知って離れて行っちゃって…」


『…そう。でも、私は別にみんなが暴走族だって知って怖がったりなんてしないし、全国NO.1っていう立場にいるだけですごいと思うけど…』


『『『「!」』』』


こんなこと言われたのは由衣がはじめて。


心臓がドクッと音をたてる。


やば、


俺、本気で由衣のこと…