「……でもさ、由良。そんなに蓮くんに隠し通したいなら、最初から俺の店に由衣ちゃんを来させなきゃよかったんだよ。あの子が残していった『足跡』は、そう簡単には消せないんだから」
「……湊、お前──」
由良の瞳に再び鋭い光が宿る。
……だが、湊はそれを視線で制すると、今度は俺の方を真っ直ぐに見つめて、綺麗な目をニヤリと細めた。
「ねぇ、総長サマ。情報屋として、ちょっといい取引を持ちかけたいんだけど」
「……取引?」
思わず聞き返した俺の前で、湊はわざとらしく人差し指を立ててみせる。
「由良たちが、これから由衣ちゃんをどこに連れて行こうとしてるのか──。その場所、俺、知ってるよ? ……この情報、買う?」
────最初に声をあげたのは、俺ではなく由良だった。
いつも冷静な由良が、今度こそ本当に信じられないといった様子で、湊を激しく睨みつける。
「湊、お前……っ! 余計なことをするなと──」
「いーじゃん別に。俺、情報屋だもん。売れるネタは高く売らなきゃ」
殺気立つ由良をさらりとかわし、湊は俺に向かって楽しげにウインクしてみせた。
「────で、どうする総長サマ? ちなみに今回の情報料は、特別にタダでいいよ」
「……タダ?」
「うん。だって、普段無表情の由良が焦る顔、すっごく面白いんだもん。コイツをからかえれば、俺としてはそれだけで大満足だからさ」
「ふざけるな、湊……っ!!」
由良が殴りかからんばかりに拳を握りしめ、二人の間で火花が散る。



