君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




いつもチャラついていて、どんな状況でも余裕の笑みを崩さなかったあの湊が、息を詰まらせて顔を歪めていた。

その額には、だらだらと冷や汗が伝っている。



「……っ、ハハ……、怖いなぁ、由良……。でもさ、君が蓮くんの立場だったら絶対知りたがるでしょ……っ…」


湊が苦しげに言い訳を紡ごうとした、その時。



────由良の手のひらに、さらに凶悪な力が込められた。

ミシッと壁がきしむ音がして、湊の背中が、ガッと再び壁に叩きつけられる。





────俺は二人の気迫に圧倒され、一歩も動くことができない。




……だが、湊を睨みつけていた由良は、やがてギリ、と奥歯を噛み締めた。


そのままゆっくりと顔を俯かせ、掴んだ手の力をわずかに緩める。




「……これ以上、俺たちのことに関係ない奴らを巻き込みたくないだけなのに」



絞り出すような由良の声が、静まり返った部屋にポツリと落ちた。


いつも俺たちを冷たく突き放していた、あの拒絶の態度。



───それは裏切りなんかじゃなくて、俺たち月華を守るための、アイツなりの不器用な本音だった。






「由衣の過去も、今回のことも、全部俺たちの問題だから。……お前らには何も関係ない」



俯いた由良の髪の隙間から、ひどく傷ついたような、切ない横顔が覗いていた。