君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~



息を呑み、次の言葉を待つ俺の耳に、湊は静かにその名を落とした。




「……由良の、仲間たちだよ」


「────は!?」



───頭を、鈍器で殴られたような衝撃。

一瞬、湊が何を言ったのか理解できなくて、俺の思考は完全に停止した。


由良は、いつだって由衣の味方だったはずだ。

なのに、その由衣を裏切るような真似をした……?


───そんなの、もう”敵”と何が違うっていうんだ。



頭が拒絶して、言葉をうまく処理できない。


けれど──あいつの不自然な行動が、脳裏にフラッシュバックする。



由衣が拐われた時、あいつは確かに俺たちと同じように必死になって探していた。


……だけどその裏で、何かを知っているはずのに頑なに黙り込み、挙句の果てには『お前らは来ない方がいい』なんて俺たちを冷たく突き放してきたんだ。





「由良の、仲間……? 嘘だろ、なんで……」


あの時の不審な言動は、全部このためだったのか。


あいつは、最初からすべてを知りながら俺たちを騙して、裏で由衣を連れ去る手引きをしていたっていうのか──。



(……ふざけんなよ!!)



拳を強く握り締めすぎて、爪が手のひらに深く食い込む。




「……あいつ、最初から全部知ってて、俺たちを裏切ったってことかよ……っ!なんでだよ!!アイツは、由良は───由衣の兄貴だろ!!!!」



(なんで、なによりも大切にしていた由衣にそんなこと……!!)




喉がちぎれそうなほどの叫びに、湊は何も答えず、ただ困ったように小さくため息をついた。