───あの日、由衣は俺のためにプレゼントを選んでくれているとばかり思っていた。
その裏で、由衣がそんな危険な場所に自ら足を踏み入れ、九条の情報を探っていたなんて、夢にも思わなかった。
動揺を隠せない俺を、湊は面白がる風でもなく、ただ静かに見つめている。
その静寂が、冷徹に現実を突きつけてくるようで。
「もちろん俺は情報屋としていつも通り調べたよ。それで、掴んだ情報を由衣たちに伝えた」
湊の声は淡々としている。
……それがかえって、事態の重さを物語っているようだった。
情報屋としての仕事を全うした。
────それだけのはず、だった。
だけど、湊の口元からふっと笑みが消える。
「その時は自分が調べ上げたその情報を全く疑わなかった。だけど……」
そこで言葉を区切り、湊は一度目を伏せた。
────次に俺を見たその瞳には、いつもの余裕の笑みはひとかけらも残っていない。
「……その掴んだ情報が、敵によって精巧に仕組まれた罠だったんだよ」
「……は……っ、罠って、どういうことだよ!」
沈黙を破った俺の声が、誰もいない室内に鋭く響き渡った。
ぶつけた問いの刃は、目の前の湊だけでなく、俺自身の胸にも跳ね返ってくる。
────嫌な予感が、心臓を雑に掴んで締め上げていく。
ドクドクと、耳の奥で自分の血の音がうるさいほどに鳴り響いていた。



