君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




「だからといったらなんだけど……」



湊が、そこではじめて顔を上げた。

頼りなく揺れるその瞳には、今までに見たこともないほど深い、ドロドロとした後悔が滲んでいる。



「由衣が今どこにいるのかも……俺なら、心当たりがある」

「!!」



その言葉に、胸の奥がドクンと跳ねて、俺は思わず息を呑んだ。




「本当に、知ってるのか?」


「……確実に、とまでは言えないけどね」


湊は力なくそう答えてから、ギュッと自分の膝を掴んでいた拳を、諦めたように緩めた。

胸の奥に溜まった澱を吐き出すように、一度だけ深く息をつく。



「でも────」


……そして。

今度こそ湊は逃げることなく、俺の目を真っ直ぐに見つめて、覚悟を決めたように唇を動かす。



「今から、全部話すよ。由衣がいなくなった日のことも、俺が何をしたのかも……全部」



部屋の空気が、破裂しそうなほどに再び張り詰める。


気が付けば、大晴はいなくなっていて。

部屋の外から聞こえる遠い雑音さえ、今の俺たちには届かない。



俺はただ、鼓動の音をうるさく響かせながら、湊の次の言葉を待つしかなかった───……。