君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




「……ちょっと待てよ」


自分でも驚くほど、冷え切った声が出た。





「……どういう意味だよ」


俺の問いかけに、湊は答えない。

……ただ、すべてを諦めたような顔で、苦しそうに視線を落とすだけだった。



「……湊」

「…………」


「どういう意味だって聞いてんだよッ!!」


名前を呼んでも、顔を上げない。

抑えきれない苛立ちが声に滲み、最後は怒号となって部屋に響いた。



────それでも湊は、唇を噛み締めたまま、何も言わなかった。





やがて────。



「……俺が、余計なことを言ったんだ」


ぽつり、と。

小さく震えるような声が、重苦しい空気の中に落ちた。




「それがきっかけで……あの子を、こんなことに巻き込んだ。だから……」


「───っ」



胸の奥が、ぞわりと嫌な音を立てた。




───『自分がやったこと、わかってんの?』

───『元はと言えば、俺が───』

───『こんな重大なミス、裏切り者判定されたっておかしくない。』

───『俺なりに、ケジメをつけるつもりだよ』



脳裏をよぎったのは、この前耳にした、湊と由良のどこか不穏なやり取り。


(あの時感じた違和感の正体は……これだったのか)




点と点が一気に繋がり、全身に鳥肌が立つ。