────そこで明かされた真実に、俺たちはこれ以上ないくらいの衝撃を受けた。
……でも、不思議と怒りは湧いてこなくて、代わりにしばらくの間、驚きと呆気にとられるばかりだった。
由衣は俺たちが嫌うはずの裏切り者───だけど"月華"に危害を加えるどころか、桃華を守ってくれていた彼女の行動に、俺たちも少なからず救われていたのは事実なのだから。
───それからの日々は、どこか曖昧なまま過ぎていった。
別に由衣のことを嫌いになったわけじゃないし、今さら裏切り者として切り捨てる気にもなれない。
第一、俺たちの総長である蓮があれほど気に入っているんだ。
追放なんて選択肢、最初からなかった。
───ただ、頭の中でぐちゃぐちゃになった情報を、必死に整理していた。
少しずつ、時間をかけて自分に言い聞かせようとしていたんだ。
あの子は敵じゃない、俺たちの知ってる由衣なんだって。
────そんな穏やかな日常が揺らいだのは、まさにそんな時だった。
由衣が拐われたと、蓮から緊迫した連絡が届いたのは。
蓮の焦燥具合は想像通りだったけれど、実は、俺自身も今までにないくらい激しく焦っていた。
俺は……思っていたよりもずっと、由衣という存在に依存していたのかもしれない。
もちろん、つい最近まで男だと思い込んでいたんだから、恋愛感情なんてものじゃない。
だけど────やっぱり、あの温かい輪の中に由衣がいないなんて、もうどうしても想像できなかったんだ。



