君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~



────そして、当日。



遅れてやってきた俺たちの目に映ったのは、見知らぬ美少女を抱きしめている蓮の姿。




まず、極度の女嫌いである蓮が女子を抱きしめていることに度肝を抜かれた。



けれどその次に……蓮の口から零れ落ちた『由良』という名前に、俺たちはもっと大きな衝撃を受けることになる。




まさか────。


いま蓮の腕の中にいる、誰もが見惚れるような絶世の美少女が、あの地味でひ弱だった由良(由衣)だっていうの?



そんな驚きと混乱が混ざった疑問が、当時の俺たちの頭の中をぐるぐると駆け巡っていた。






───だけど、神様は俺たちに息をつく暇さえ与えてくれない。


いきなりその場に現れて、幸せそうに寄り添う二人を容赦なく引き裂いた存在に、俺たちはさらに血の気が引いた。



────由良。


まったく気配なんて感じなかった。


なのに、まるで最初からずっとそこに影のように佇んでいたとでも言いたげな、恐ろしいほど平然とした表情。




しかも、蓮と陽人の話によると……いま目の前にいるこの男こそが、数日前にカフェから由衣ちゃんを連れ去った犯人であり。




───そして、かつて"月華"を襲撃して、蓮たちにあの黒い拳銃を向けた最悪の男だという。



あまりにも多すぎる情報量と、急激に跳ね上がった危険度。




これ以上ここで話すのはまずいと判断したらしい李兎が、みんなを落ち着かせるように声をかけ、一同は二階の幹部室に移った。