だから、今年の春。
あんなに地味で、喧嘩もできなさそうなひ弱な由衣を拾ってきたのも、蓮のそんな一面が理由なんだろうって、すぐに分かった。
だからこそ……俺たちは過剰なまでに彼女のことを警戒した。
優しい蓮のことだから、また悪い奴に騙されているんじゃないかって。
由衣も烈と同じように、人畜無害なフリをして俺たちを陥れようとする、新しい裏切り者なんじゃないかって。
もう二度と、蓮が血を流して傷つく姿なんて見たくない。
────それは、俺たちの過保護すぎるほどの臆病からくる警戒だった。
だけど────拳銃を向けられた蓮と桃華を必死になって庇う姿に、毒毛なんていとも簡単に抜かれてしまった。
それからの毎日、健気に蓮の世話を焼く彼女の姿に、気付けば俺たちのほうがホッコリと癒やされていたくらいだ。
────蓮自身も、由衣のことを大層気に入っていたみたいだった。
普段なら喧嘩もできない一般人を連れていくはずがない"暴走"にすら、自ら由衣を誘っていたくらいだから。
途中から別行動になって……離れていた間になにかあったのか、翌日から由衣に対する態度がガラリと変わっていたことには驚いたけど。
まるで、本物の恋人を相手にするような距離の詰め方。
……見ているこっちがむせ返りそうなくらい、甘ったるい空気。
─────今思えば、蓮はその時から由衣のことが好きだったのかもしれない。



