二つの感情に激しく引き裂かれて、俺の身体は指一本動かせなかった。
……自分の弱さが、情けなくて、悔しくてたまらなかった。
だけど────。
蓮だけは、違ったんだ。
迷いなんて、最初から微塵もなかった。
蓮は、激しい銃声のなか、自分の身体を投げ出したんだ。
裏切り者であるはずの、烈を庇って。
……結果として、蓮は銃弾を浴び、生死を彷徨うほどの大怪我を負った。
蓮は、優しい。
一番初めに烈の裏切りに気づいたくせに、彼を見逃して。
月華が崩壊しそうになっているくせに、裏切り者である烈の分の痛みも請け負った。
少なからず彼の裏切りにショックを受けたはずなのに、彼を責めることはなかった。
それどころか……自分が撃たれた直後ですら、真っ先に烈の安否を確かめて、無事だとわかるとホッとしたように笑ったんだ。
普段は不器用で、ちょっと俺様気質なところもあるけれど。
本当は誰よりも仲間思いで、自分を裏切った相手すら身体を張って庇ってしまうくらい、めちゃくちゃに良い奴。
……ほんと、呆れるほどのお人好しなんだよ。



