奴は、懐から────黒光りする、本物の拳銃を取り出したんだ。
暴走族が銃を持っていること自体、当時の俺たちには理解が追いつかなかった。
なのに次の瞬間、さらにわけのわからない光景が目の前に広がった。
────銃口が、身内であるはずの烈に向けられたんだ。
『ハハッ、コイツはなぁ、俺たちの仲間なんだよ。お前らはずっと、何も知らないでコイツに騙されてたんだ!!』
そう言って下品に歪んだ奴の笑顔と、「どうして」とでも言いたげに真っ青に染まった烈の顔は、今でも脳裏に焼きついて離れない。
その一瞬で、俺たちはすべてを悟ってしまった。
────烈は、最初から"鳳凰"の使い捨ての駒にすぎなかったんだ、と。
『お前はもう、用済みだ!!!!』
一切の躊躇いもなく、引き金に指をかける"鳳凰"の総長。
烈は怯えたように腕で顔を覆い、訪れる衝撃に身をすくませていた。
俺は地面に組み伏せられ、朦朧とする意識の中で、ただそれを見つめることしかできなくて。
自業自得だ。
スパイなんて汚い真似をしたんだから、当然の報いだ……そうやって、あいつを責める冷酷な自分。
だけどその一方で。
たとえ今までの笑顔が嘘でも、裏切り者でも────それでも半年間、一緒に笑い合ってきた大切な仲間だったじゃないか、と、身体を張ってでも守ろうとする優しい自分。



