♠︎ Taisei
────由衣が消えてから、早一週間。
いつもなら騒がしい声が響いているはずの倉庫は、まるでお通夜の会場のような陰鬱とした空間に変わっていた。
誰もが言葉を失い、ただ重苦しい沈黙だけが、コンクリートの部屋をじわじわと支配していく。
誰もが怒りと、焦りと───そして、自分たちの無力さに打ちひしがれて、ただ黙って下を向くことしかできない。
────そんな息が詰まりそうな空間で、俺はゆっくりと部屋の奥へと視線を向けた。
そこにぽつんと佇んでいる彼の姿を見た瞬間、心臓を直接掴まれたような痛みが走る。
────蓮。
おそらく……いや、確実に今回のこの件で一番ショックを受けたのは彼だ。
今のこの様子を見ていたら、その手のことに鈍い俺でもなんとなく察してしまった。
……蓮は、由衣ことを、"一人の女の子"として、心の底から愛していたんだ。
そんな彼からして、彼女を失うことは……どんな苦痛よりもツラいことだろうから。
ソファに深く腰掛けた蓮は、ただじっと、自分の拳を見つめていた。
───怒り狂って暴れるわけでもなく、ただ、魂が抜けたように動かない。
子供の頃からずっと一緒にいるけれど、こんなに脆くて、今にも壊れてしまいそうな蓮を見るのは、俺だって初めてだった。



