────月華のみんなは、裏社会のドロドロした因縁なんて何も知らない。
……ただ不器用で、熱くて、彼らを騙していた最低な私にも優しくてしてくれて────私に、温かい居場所をくれた大切な人たちだ。
私のこの無様な姿を見せて、私の過去の因縁にこれ以上彼らを巻き込むことだけは、絶対に許さない。
そして──私のために、蓮さんたちが怒り狂って、ここに命懸けで突入してくる未来も、一瞬で容易に想像がついてしまった。
────胸の奥で、冷たい怒りが炎に変わる。
「……あなたたちに、それが出来るものなら」
私は口元の血をもう一度舐め取り、今度ははっきりと、男たちを完全に地獄へ見落とすような瞳で笑ってみせた。
「早く送りなよ。その暴走族がここに来るのが先か……あなたたちに限界が来るのが先か──試してみたら?」
私の冷え切った言葉に、男の顔が怒りで引きつる。
恐怖をプライドで塗りつぶそうとするように、男は凶暴な声を上げて再び拳を振り上げた。
「────この期に及んで、ナメた口利いてんじゃねぇぞッ!」
風を切る鋭い音がして、容赦のない衝撃が私を襲う──そう思った、次の瞬間だった。
────轟音。
バキィンッ! と、部屋の頑丈な鉄扉が内側へと激しく吹き飛んだ。



