────ガチャン、と静寂を破って、部屋の奥の鉄扉が重々しい音を立てて開き始めた。
「お、おい、目が覚めたっぽいぞ」
「マジじゃん。……っていうか、めちゃくちゃ上等なタマじゃねぇか」
……入ってきたのは、いかにも裏社会の底辺といった風貌の、品性のない男たち数人だった。
下卑た笑みを浮かべ、値踏みするような視線で私の身体をねっとりと舐め回してくる。
「おいおい、上からは『この写真の女を攫ってこい』って言われたから連れてきたけどよ……」
「こんな極上の美少女だなんて聞いてねぇぞ? なぁ、ちょっとくらい遊んでもバレねぇよな?」
「へへっ、いい匂いすんじゃん。なぁお嬢ちゃん、怖がらなくていいぜ?」
一歩、また一歩と、男たちが距離を詰めてくる。
吐き気がするほどキモい発言。
────耳を汚す下品な笑い声。
(……あぁ、なるほど)
もし、私が一般人ならここで泣き叫んで助けを求めるところだろう。
……けれど、私の心は微塵も揺らがなかった。
男たちの言葉から、重要な情報がいくつもこぼれ落ちていたからだ。
────この男たちは、私が何者であるかを全く知らない。
かつての私たちの組織の恐ろしさを、これっぽっちも理解していない。
ただ上からの命令で、理由も知らされずに私を拉致してきた、何も知らないただの捨て駒(下っ端)。



